福岡城を歩いたあと、すぐおとなりの福岡市美術館へ。大濠公園のなかにある、あの赤い建物です。ちょっと寄るだけのつもりが、これがとんでもない振り幅で、すっかり長居してしまいました。やはり今日も最高でした。
大濠公園のほとりの、赤い美術館
外壁が赤茶色のタイルでおおわれた、落ち着いた佇まいの建物。設計は、日本近代建築の巨匠・前川國男。ル・コルビュジエに学んだ人で、この福岡市美術館は1979年の開館です(2019年にリニューアル)。
いきなり、平安の仏像に迎えられる

1階の「東光院仏教美術室」へ。もと博多のお寺・東光院に伝わっていた仏像たちが並ぶ部屋です。
まんなかに、薬師如来。その両脇に日光菩薩と月光菩薩、まわりをぐるりと十二神将が囲んでいます。お堂の中にいるみたいな展示で、これが素晴らしかった。十二神将はそれぞれ頭のてっぺんに干支の動物をのせていて、自分の干支をさがすのが地味に楽しい。
木彫なので、よく見ると欠けているところがあったり、手にしていたはずの武具がなくなっていたり。でも、そこは頭の中で補完しつつ眺めてみる。平安時代からここまで残ってきたんだなあ、と思うと、欠けすらいい味に見えてきますよね。でもほんとはあったらいいんだけどな〜。


仙厓さんの「鳥はどこ?」
古美術のコーナーで足が止まったのが、仙厓さんが言葉を寄せた一幅。ゆるくて味のある禅画で知られる、博多ゆかりのお坊さんです。
横の解説に「鳥はどこ?」とあって、え、鳥?どこ?としばらく絵とにらめっこ。言われてみれば……鳥に見えなくもない、かなぁ。仙厓さん、ほんまに?と心の中でツッコミながら、まんまと長いこと眺めてしまいました。

まさかのカプーア、そして塩田千春

ここからが本当に予想外でした。近現代のフロアに進むと、アニッシュ・カプーアの「虚ろなる母」が。正直、ここでカプーア作品に会えると思っていなかったので、声が出そうになりました。声を出さずに顔だけは立派に「お!」という表情にはなっていました。見ていると吸い込まれそうな深淵なる闇、闇、闇、虚空、深い、不思議な作品です。
さらにその先には、塩田千春さんの「記憶をたどる船」。赤い糸が空間いっぱいに張りめぐらされた、鉄の船のインスタレーション。仏像で始まって、まさか塩田千春さんで終わるとは。最高でした。



まとめ
本当は仙厓さんの作品がコレクションに少しでも出ているかもと期待してふらっと寄ったつもりが、平安時代の仏像から現代アートまで、ぜんぶ一館で楽しめた福岡市美術館。仙厓さんは1点のみだったけど、他で満足。また展示される機会にも期待。
知識ゼロ、ただの初心者でも、「うわ、これ知ってる」「これは何だろう」を行ったり来たりするだけで、あっという間に時間が過ぎていきました。お城のあとに軽い気持ちで寄ったのに、すっかり満腹。次はもっと時間をとって、ゆっくり来たいなと思います。
この日はこのあと、おとなりの大濠公園にも立ち寄りました。

