ロン・ミュエク展(2026年7月)

展示室いっぱいに積まれた巨大な頭蓋骨《マス》 美術館・博物館
ロン・ミュエク展の入口壁面
ロン・ミュエク展の入口壁面

作品はたった11点なのに、見応えたっぷり。そして一番心に残った作品は、写真に撮れませんでした。森美術館の「ロン・ミュエク」展、やはり今日も最高でした。

ロン・ミュエクってどんな作家?

ロン・ミュエクは、人間そっくりの彫刻をつくる現代美術作家。ただし「そっくり」なのは質感だけで、サイズは巨大だったり、小さかったり。過去30年間につくった作品はわずか49点という寡作の作家で、日本での個展はなんと18年ぶり。今回は初期の代表作から近作まで11点、うち6点が日本初公開です。

実はむかし、ロンドンのナショナル・ギャラリーで、ミュエクの制作途中の目玉や模型を見たことがあります。当時から有名な作家さんでしたがいまほどではなくて、それでも大好きな作家さんだったので公開スタジオを拝見できたことはいまでも良く覚えています。あれから20年以上たってあらためて個展を拝見できるのはとても嬉しかったし楽しかったです。

制作中のスタジオを写した写真作品
制作中のスタジオを写した写真作品

リアルなのに、現実からずれている

会場に入ってまず驚いたのが、人の多さ。みんなこんなに現代美術が好きなのかー!と嬉しくなったのだけど、たぶんこれは森美術館の広報がすごくて、そしてロン・ミュエクの作品がすごい、ということなんだろうなぁって。

《枝を持つ女》《イン・ベッド》《エンジェル》と、どの作品も肌の質感や髪の毛は本物みたいなのに、大きさや状況が現実からずれている。だからリアルなのにどこか不安で、目が離せなくなるんです。今にも動き出しそうな程の質感。いろんな人に見られることに不安を感じたりしないのかな?と不安になってしまうくらい。もちろん彫刻なのでそんな不安もないとは思うけど・・・というかないけど。でもそう錯覚するほどのリアル。

枝の束を抱える女性像《枝を持つ女》
枝の束を抱える女性像《枝を持つ女》

《マスクII》は裏側もおもしろい

巨大な眠る男性の顔《マスクII》は、ぐるりと裏側まで見られます。表はまつ毛や髭までリアルなのに、裏に回ると空洞。彫刻なんだと頭ではわかっているのに、表に戻るとまた「寝てる・・・」と思ってしまう。この行ったり来たりが楽しい。

暗闇の《ダーク・プレイス》

暗い空間に男性の頭部だけが浮かぶ《ダーク・プレイス》は、なかなかの圧。近づききれない距離感も含めて作品なんだと思うんだけど、もっと広くて真っ暗な場所で見てみたいな。

暗闇に浮かぶ男性の頭部《ダーク・プレイス》
暗闇に浮かぶ男性の頭部《ダーク・プレイス》

頭蓋骨100個の《マス》

そして日本初公開の《マス》。巨大な白い頭蓋骨100個が、展示室いっぱいに積み上がっています。会場の空間に合わせて配置される作品だそうで、通路の奥まで頭蓋骨、頭蓋骨、頭蓋骨。床の避難口の表示と並んでいる光景が、なんだかとてもシュール。

展示室いっぱいに積まれた巨大な頭蓋骨《マス》
展示室いっぱいに積まれた巨大な頭蓋骨《マス》

写真に撮れなかった、一番の作品

でも、一番心に残ったのは《買い物中の女》でした。

重たそうなビニール袋を両手にさげて、赤ちゃんを抱っこ紐で前に抱いたお母さん。赤ちゃんを包むようにコートを着て、視線はどこか遠くへ。疲れた表情のお母さんを、赤ちゃんだけがまっすぐに見上げています。

あまりにリアルで、カメラを向けられませんでした。だからこの作品だけ、写真がありません。それでいいような気もしています。

帰り道の小さなうれしいもの

鑑賞後、麻布十番駅で守半海苔店の自販機を発見!海苔茶漬け好きなので、迷わず購入しました。展覧会のあとにこういう出会いがあると、ちょっと得した気分になりますよね。あとで調べたら、銀座駅に守半海苔店の自販機あるんですね(笑)歌舞伎の帰りに買えるじゃない、わたし。

まとめ

滞在時間は1時間半。作品数が少ないぶん、一点一点とゆっくり向き合える展示でしたが、それでももう少し時間がほしかった・・・。会期は9月までなので、気になっている方はどうぞゆっくりできる時に是非っ。わたしももう一度、あのお母さんに会いに行くかも。

ロン・ミュエク展 基本情報
会期2026年4月29日(水・祝)〜9月23日(水・祝) 会期中無休
会場森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間10:00〜22:00(火曜日のみ17:00まで。5月5日・8月11日・9月22日は22:00まで。6〜9月の土日祝等は9:00〜22:00、7月18日除く。最終入館は閉館30分前)
料金[平日] 一般2,300円(オンライン2,100円)、学生1,400円(オンライン1,300円)、シニア2,000円(オンライン1,800円) / [土・日・休日] 一般2,500円(オンライン2,300円)、学生1,500円(オンライン1,400円)、シニア2,200円(オンライン2,000円) ※中学生以下無料
アクセス東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口よりコンコース直結、都営大江戸線「六本木駅」3出口より徒歩約4分
所要時間の目安1時間〜1時間半ほど
備考事前予約制(日時指定券)。日時指定枠に空きがあれば当日窓口での購入も可(2026年7月時点)
ひとりさんぽメモ人気展で混雑しますが、ひとりなら作品の正面が空いた一瞬にすっと入れます。作品数は11点と少なめなので、一点ずつじっくり向き合いたい方は時間に余裕をもって。
タイトルとURLをコピーしました