
作品はたった11点なのに、見応えたっぷり。そして一番心に残った作品は、写真に撮れませんでした。森美術館の「ロン・ミュエク」展、やはり今日も最高でした。
ロン・ミュエクってどんな作家?
ロン・ミュエクは、人間そっくりの彫刻をつくる現代美術作家。ただし「そっくり」なのは質感だけで、サイズは巨大だったり、小さかったり。過去30年間につくった作品はわずか49点という寡作の作家で、日本での個展はなんと18年ぶり。今回は初期の代表作から近作まで11点、うち6点が日本初公開です。


実はむかし、ロンドンのナショナル・ギャラリーで、ミュエクの制作途中の目玉や模型を見たことがあります。当時から有名な作家さんでしたがいまほどではなくて、それでも大好きな作家さんだったので公開スタジオを拝見できたことはいまでも良く覚えています。あれから20年以上たってあらためて個展を拝見できるのはとても嬉しかったし楽しかったです。

リアルなのに、現実からずれている
会場に入ってまず驚いたのが、人の多さ。みんなこんなに現代美術が好きなのかー!と嬉しくなったのだけど、たぶんこれは森美術館の広報がすごくて、そしてロン・ミュエクの作品がすごい、ということなんだろうなぁって。
《枝を持つ女》《イン・ベッド》《エンジェル》と、どの作品も肌の質感や髪の毛は本物みたいなのに、大きさや状況が現実からずれている。だからリアルなのにどこか不安で、目が離せなくなるんです。今にも動き出しそうな程の質感。いろんな人に見られることに不安を感じたりしないのかな?と不安になってしまうくらい。もちろん彫刻なのでそんな不安もないとは思うけど・・・というかないけど。でもそう錯覚するほどのリアル。







《マスクII》は裏側もおもしろい
巨大な眠る男性の顔《マスクII》は、ぐるりと裏側まで見られます。表はまつ毛や髭までリアルなのに、裏に回ると空洞。彫刻なんだと頭ではわかっているのに、表に戻るとまた「寝てる・・・」と思ってしまう。この行ったり来たりが楽しい。


暗闇の《ダーク・プレイス》
暗い空間に男性の頭部だけが浮かぶ《ダーク・プレイス》は、なかなかの圧。近づききれない距離感も含めて作品なんだと思うんだけど、もっと広くて真っ暗な場所で見てみたいな。

頭蓋骨100個の《マス》
そして日本初公開の《マス》。巨大な白い頭蓋骨100個が、展示室いっぱいに積み上がっています。会場の空間に合わせて配置される作品だそうで、通路の奥まで頭蓋骨、頭蓋骨、頭蓋骨。床の避難口の表示と並んでいる光景が、なんだかとてもシュール。



写真に撮れなかった、一番の作品
でも、一番心に残ったのは《買い物中の女》でした。
重たそうなビニール袋を両手にさげて、赤ちゃんを抱っこ紐で前に抱いたお母さん。赤ちゃんを包むようにコートを着て、視線はどこか遠くへ。疲れた表情のお母さんを、赤ちゃんだけがまっすぐに見上げています。
あまりにリアルで、カメラを向けられませんでした。だからこの作品だけ、写真がありません。それでいいような気もしています。
帰り道の小さなうれしいもの
鑑賞後、麻布十番駅で守半海苔店の自販機を発見!海苔茶漬け好きなので、迷わず購入しました。展覧会のあとにこういう出会いがあると、ちょっと得した気分になりますよね。あとで調べたら、銀座駅に守半海苔店の自販機あるんですね(笑)歌舞伎の帰りに買えるじゃない、わたし。


まとめ
滞在時間は1時間半。作品数が少ないぶん、一点一点とゆっくり向き合える展示でしたが、それでももう少し時間がほしかった・・・。会期は9月までなので、気になっている方はどうぞゆっくりできる時に是非っ。わたしももう一度、あのお母さんに会いに行くかも。

