お城めぐり:熊本城(2026年6月・1日目)

大小天守を見上げる お城めぐり
天守と本丸御殿、長く続く石垣
天守と本丸御殿、長く続く石垣

天守は蘇ったけど、すぐ隣の石垣はまだ崩れたままの状況。修復されたところといまだ手つかずのままのところが同じ景色に並んでいて、見上げるたびに嬉しいと寂しいの気持ちがいったりきたり。復興のいまを、ひとりでぐるりと見て歩いた1日。しんみりもしたけど、やはり今日も最高でした。

歩いた順路を写真で見る → 熊本城ルートマップ(2026年6月・1日目)

熊本城ってどんなお城?

加藤清正が手がけて、慶長12年(1607年)に完成したお城です。下部はゆるやか、上部にいくほどに反り返る「武者返し」の石垣が有名。

上にいくほど反り返る「武者返し」の石垣
上にいくほど反り返る「武者返し」の石垣

2016年に発生した熊本地震で大きな被害を受け、今もあちこちで復旧工事が続いています。完了予定はなんと2052年。35年がかりの、気が遠くなるような道のりです。お城って一度建てたら終わりってわけじゃないんだなぁと、入口で早くもしみじみしました。

まずは「奇跡の一本石垣」

行幸橋から入ると、すぐに復興見学ルートでいきなりの洗礼。崩れた石垣にブルーシートがかかり、クレーンが置いてあり、地震の傷あとがまだ生々しい。

被災した石垣にブルーシート。復興見学ルートのいきなりの洗礼
被災した石垣にブルーシート。復興見学ルートのいきなりの洗礼

なかでも飯田丸五階櫓の「奇跡の一本石垣」。地震で石垣の角だけが残って、櫓を一本柱みたいに支えていた、あの有名な櫓です。じつは今、あの姿はもう見られません。櫓は古材を保存するために解体され、崩れた石垣も2024年に積み直しが完了。今年度からは櫓そのものの再建が始まって、2028年度の完成を目指しているそうです。あの「奇跡」をこの目で見られなかったのはちょっと残念だけど、ちゃんと前に進んでるんだなぁ、と嬉しくなりました。

飯田丸五階櫓「石垣の復旧」の解説板。被災前後の写真も
飯田丸五階櫓「石垣の復旧」の解説板。被災前後の写真も

いま、熊本城には特別見学通路という高架の通路があって、復旧現場を上から見ながら歩けます。瓦がずらりと並ぶ脇に「壁土発酵中」の札。壁の土も一年寝かせて発酵させるそうで、こういう地道な工程をのぞけるのも、今だけの楽しみかもしれません。

わくわく座で、職人さんの言葉にやられる

熊本城ミュージアム「わくわく座」も面白かった。1.8トンの石を首にかけたという横手五郎の伝説(首掛け石)とか、ゆるい展示にもニヤニヤしつつ。

ゆるくて楽しい「首掛け石」の展示
ゆるくて楽しい「首掛け石」の展示

でも、いちばんささったのは現代の職人さんたちの言葉でした。測量、左官、瓦葺き、石工、大工…それぞれが愛用の道具と想いを語っているコーナーです。「道具は手の延長」、元同僚から託された鏝(こて)、復旧が終わるのは何十年も先だけどいつか当たり前の景色にしたい、という言葉。地味かもしれないけど時間のかかる大変な仕事を、誇りを持って続けている人たちの声に、思わずじーん。

「わたしたちの熊本城」職人さんたちの言葉のコーナー
「わたしたちの熊本城」職人さんたちの言葉のコーナー

昔の職人さんは「当時の技術がすべて」だったけど、今の人たちは進歩した技術を持ちながら、あえて昔のやり方をなぞって直していく。そのもどかしさや、当時に思いを馳せながらの作業…昔とはまた違うご苦労があるんだろうなあ。そんなことを思いながら、いましか見られないこの光景を目に焼き付けるのでした。(ある意味、石垣のグリ石が見られるなんて・・・あと石垣がたくさん並んで自分の順番待ちをしている光景はなんとも眼福なんです・・・不謹慎かもしれないけれど、前向きにいまの修復を心から応援しています。)

順番待ちのように並ぶ石材(石材置き場)
順番待ちのように並ぶ石材(石材置き場)

石垣は、やっぱり雄弁

熊本城はとにかく石垣がすごい。二様の石垣は、清正の時代のゆるやかな古い石垣に、急こう配の新しい石垣が継ぎ足された場所。ふたつの「反り」を見比べられ、奥には天守も望めて、最高の眺めです。また震災前には設置されていなかった遊歩道は少し高い位置にあるので、震災で修復が必要な連続枡形小口などはその場に降りてみることはできない代わりに、いつもとは違った景色で眺められるということも。

天守を望む「二様の石垣」
天守を望む「二様の石垣」

連続枡形(本丸への道がぐねぐね6回も折れ曲がる防御の仕掛け)を上から見下ろすことができるのもいまだけ。しかしほんとに迷路みたい。攻める側はたまらないし、たぶん一つ目のところでやられる自信しかないわ〜、と他人事ながら遠い目に。

上から見下ろす連続枡形。まるで迷路
上から見下ろす連続枡形。まるで迷路

そして数寄屋丸。石垣が崩れて、建物が宙に浮いたみたいになっている…地震の爪あとがそのまま残っていて、言葉が出ませんでした。きれいに直った場所ばかりじゃない。こういう景色も、ちゃんと目に入れておきたいなと思います。

石垣が崩れ、宙に浮いたように見える数寄屋丸
石垣が崩れ、宙に浮いたように見える数寄屋丸

焼けても、蘇る

最後に大銀杏。加藤清正お手植えと伝わる木で、1877年の西南戦争の火災で天守もろとも焼けてしまったけれど、その焼けた根元からまた芽吹き、現在の堂々としたお姿になったそう。

堂々たる大銀杏
堂々たる大銀杏

震災から蘇った黒い天守を、その緑の枝ごしに見上げる。一度は焼けた木と、一度は傷ついたお城が、同じ一枚におさまる。なんだか熊本城の復興そのものを見ているみたいで、ずーーーーっと眺めていられます。

大銀杏の緑の枝ごしに見上げる天守
大銀杏の緑の枝ごしに見上げる天守

まとめ

修復が完了したところと、まだ未着手のところ。その両方を一日かけて見て歩いた熊本城。すごーーーくにぎやかな観光地!という感じではないけれど、だからこそ、ひとりで静かに「いま」を受け止めるにはちょうどよかった気がします。

見どころが多すぎるので、天守の中はまた明日にします💤

また明日、と見上げた大小天守
また明日、と見上げた大小天守
熊本城 基本情報
所在地熊本県熊本市中央区本丸1-1
料金高校生以上800円 / 小・中学生300円 / 未就学児無料
開館・開城時間9:00〜17:00(最終入園16:00、天守閣最終登閣16:30)
休館・休城日12月29日(荒天などで休園の場合あり)
アクセス熊本市電「熊本城・市役所前」電停から徒歩約10分。桜町バスターミナルから徒歩約10分。城彩苑・南口前・二の丸駐車場間は無料シャトルバスあり。
見どころ大小天守、武者返しの石垣、二様の石垣、特別見学通路、数寄屋丸、大銀杏、熊本城ミュージアム わくわく座。
御城印・スタンプ御城印は二の丸お休み処・本丸お休み処。熊本城記念スタンプ・日本100名城スタンプは南口券売所・北口券売所(北口は土・日・祝のみ)。

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