
今月末で一旦閉館の大阪松竹座、そのお名残公演に滑り込み。仁左衛門さん目当てで出かけたら、どの場面を切り取っても豪華で、全演目通して意味のあるつながりを感じて、終わってみたら切なさまでしっかり置いていかれました。やはり今日も最高でした。
御名残公演ってなに?

1923年(大正12年)に「道頓堀の凱旋門」として開場した大阪松竹座が、設備の老朽化のため2026年5月の公演をもって一旦その役割を終えることになりました。100年以上、上方の芸能を支えてきた劇場のさよなら興行が、この「御名残五月大歌舞伎」です。
劇場としては一旦お休みになるけれど、大阪での歌舞伎興行そのものは場所を変えて続いていくとのこと。とはいえ、この建物でこの空気を味わえるのはこれが最後と思うと、入口の看板を見上げるだけで胸がきゅっとなるのでした😢

夜の部の演目は、『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』『心中月夜星野屋』、そして『當繋藝招西姿繪(つなぐわざおぎ にしのすがたえ)』の3本立て。仁左衛門さん監修の一幕で総ざらえというお祝いの構成でした。
盛綱陣屋と、気になって仕方なかった秀乃介さん
仁左衛門さんの佐々木盛綱を観るぞ!と意気込み、序盤からの仁左衛門さんに眼福。
中盤以降に登場した中村歌昇さんのご子息・秀乃介さん。花道を駆け抜けていく姿に演目を忘れてついついほっこり。
終盤には舞台上であぐらをかいて座っていたのですが、丸くなる背中、ほどけるあぐら、いまにも寝落ちしそうな雰囲気がじわじわ気になってしまって・・・
「あ、いま舟をこいだ?」「あ、もちなおした!」と心の中で実況してしまい、肝心の仁左衛門さんに集中できない状態に(笑)
今日はオペラグラスを持ってくるのを忘れてしまい、「眠りかけているのか?!」問題をしっかりと目視で確認できない・・・ううう、余計に気になる・・・
途中、イヤホンガイドの方が「このあとの仁左衛門さんの表情にご注目」と言ってくれたから、はっと我に返れたのが救い。あの説明がなかったら、ずっと秀乃介さんを見守るだけの人になってしまうところでした。
勘九郎さんの登場は一瞬だったけれど、その一瞬がしっかりかっこよくて、さすがで全部もっていかれました。
七之助さん×鴈治郎さんで爆笑の心中月夜星野屋

第二幕の『心中月夜星野屋』は、もう爆笑が止まらない。なんばグランド花月状態。
七之助さんは先月の歌舞伎座でも心中ものを軽やかに笑いに変えていたけど、今月は鴈治郎さんと一緒で破壊力が倍増。心中のお話でしたし、鴈治郎さんもおられましたし、もちろん曾根崎心中のパロディも仕込まれていて・・・「死ぬる覚悟が聞きたい」で笑ったのは初めてでした。(3月の花形歌舞伎では、そのセリフで痺れてたんだけど、あっけなく笑いに変えられて爆笑してしまった。笑)
ハイライトは、七之助さんが心中から逃れるために鴈治郎さん直伝の”エビ飛び”をお稽古する場面。実際に心中の時にはエビ飛びがうまく行き、見事に難を逃れたのでした。そのあとも武勇伝のようにエビ飛びの実演、そして一言「お稽古は裏切らないねぇ〜」。なんでもないセリフのはずなのに、たくさんお稽古をされる歌舞伎役者さんのこのお言葉には「それな!」となって、この日一番のヒットでした(笑)
第三幕、總ざらえと「浮世の憂さ」
ラストの『當繋藝招西姿繪』は、仁左衛門さん監修の一幕で、さまざまな演目の名場面をかいつまんで見せてくれる豪華な構成。次々と現れる役者さんに、客席もずっと前のめり。
その中で、芝居の中のセリフとして「芝居を観ている時間は、浮世の憂さをしばし忘れられる時間でもある」というような一節が出てきて、ぐっときてしまいました。まさに、まさにその通り。この劇場で過ごしてきた時間すべてがそうだったなあ、と。
これまでの観劇もそうだし、これからの観劇もきっとそう。辛いことがあってもこの時だけは本当に心が素直に動くんだよな〜。
豪華な舞台のはずなのに、これでひと区切りなのかと思うと、後半はずっと胸の奥がきゅうきゅう鳴っていました。
幕間ははり重さんの和風弁当


幕間のお弁当は、道頓堀の「はり重」さん。洋風も気になったけれど、胃腸が強くないので和風で。

牛肉の時雨煮がしっかり美味しいのはもちろん、地味に優勝だったのが奈良漬。「あれ、奈良漬ってこんなにおいしかったっけ?」と一人で何度もうなずいてしまいました。その奈良漬は2枚しか入っておらず(2枚入ってれば十分なはずだけど、おいしかったのでできればあと3枚は食べたかったよ?)・・・
胃にやさしい選択で和風弁当にしたつもりが、結局がっつり完食・・・まあいつものことです(笑)
まとめ

豪華な顔ぶれ、爆笑の心中もの、そして劇場とのお別れ。盛りだくさんすぎて、終演後はしばらくお席から撮影大会。いつもはすぐに劇場から出るのだけど、今回は終演後の劇場内を満喫しました。
お土産に大阪松竹座のチケットホルダーを購入。これは大事な思い出になりました。
チケットホルダーは何個あってもいいものです。
劇場としての大阪松竹座は一旦お休みになるけれど、大阪での歌舞伎はちゃんと続いていくとのこと。次はどこで、どんな舞台に出会えるのか、楽しみに待ちたいと思います!
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