
早替りにもドキドキしたけど、なにより小鼓を取り返してからの子狐の所作が愛らしくて、切なくて。市川團子さんの狐忠信、拝見できてうれしかったです。二階の上手席で花道は遠かったけれど、やはり今日も最高でした。
通し狂言『義経千本桜』ってなに?
今年の歌舞伎座は、松竹創業130周年を記念して三大名作を一挙上演するという特別な年でした。3月『仮名手本忠臣蔵』、9月『菅原伝授手習鑑』に続いて、そのトリを飾ったのが10月の『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』。

しかも今回は三部制で、第一部から第三部まで通しでの上演。さらにAプロ・Bプロのダブルキャストという、なんとも贅沢な布陣です。わたしが観たのは第三部のAプロ。華やかな舞踊「吉野山」と、親子の情愛を描く「川連法眼館(かわつらほうげんやかた)」、通称「四の切(しのきり)」の二本立てでした。


二階の上手席という、ちょっと切ない席
今回のお席は二階の上手側。歌舞伎座はやっぱり広くて、上手に座ると花道までけっこう距離があるんですよね〜。普通にオペラグラス使っちゃう。
そして上手のお席だからこそ地味に切なかったのが、「吉野山」・・・この日は尾上右近さんが清元栄寿太夫として清元でお唄いになっていたのにも関わらず、上手のお席からでは床(ゆか/演奏する場所)がちょうど見切れてしまうのです。それでもお声でしっかりわかるし、少し背筋を伸ばせばチラッと拝める。でも前のめりにはなれないから、ときどき無駄に姿勢をピンッと正していました(笑)なぜ私はこんな時にかぎって2階席のチケットを取ってしまったのだ・・・團子さんの宙乗りか、それでこの席選んだのか。それだとしたらたぶん2階の下手側じゃない?!それも間違ってる・・・ほんとにつらい・・・
團子さんの狐忠信が、とにかく愛らしい

第三部いちばんの見どころは、なんといっても「四の切」。義経に仕える佐藤忠信のなかに、実は初音の鼓(つづみ)を慕う子狐がまぎれている・・・という、親子の情がテーマの名場面です。本物の忠信と狐忠信の早替りや、独特の「狐言葉」がみどころ。
團子さんの狐忠信は、早替りの切れ味に目が離せないのはもちろん、小鼓を取り返してからの子狐の動きがもうたまらなく愛らしい。うれしそうなのに、どこか切なさもにじんでいて。親を慕う気持ちがまっすぐ伝わってきて、じんときました。
Aプロの「四の切」は、澤瀉屋(おもだかや)型ならではの宙乗り(ちゅうのり/宙を飛ぶ演出)つき。ただ、宙乗りは花道の上を飛んでいくので、花道から遠い上手席だと、どうしても遠目になっちゃうんですよね。花道側の桟敷ならすぐ近くで見られるらしいのに・・・と、ちょっとだけ隣の芝生が青く見えました。次こそは、あの席で。いや3階席で。今回はチケット失敗したな〜。
開演前は竹葉亭のうな重
第三部は夜からなので、腹ごしらえに竹葉亭でうな重を。お重の蓋をパカッと開ける、あの瞬間がいいんですよね。同じ鰻でも、丼より断然うな重派です。(まぁ、みんなそうか。)


めでたい焼き、ついに歓喜の舞
そして今回、ついに・・・めでたい焼きにありつけました。毎回食べたいのに、幕間の時間やらお腹の余白やらで、なかなか食べ損ねてしまうこの子。食べられなくてもしょうがない、と思いつつ、食べられた日はもう心のなかで歓喜の舞です。めでたい焼きだけで1ページ作ってもいいくらい、好き。全たい焼きにお餅が入っていたらいいのにな。

まとめ
二階の上手席で見切れはあったけれど、團子さんの愛らしい狐忠信に、竹葉亭のうな重、そして悲願のめでたい焼き。じゅうぶんすぎるほど、いい夜でした。でもチケットは失敗したね(←しつこい。笑)
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