METライブビューイング『エフゲニー・オネーギン』(2026年9月)

赤いTOGEKIの文字が掲げられた東劇の入口 その他
赤いTOGEKIの文字が掲げられた東劇の入口
赤いTOGEKIの文字が掲げられた東劇の入口

グリゴリアンのタチヤーナが歌う「手紙の場」、圧巻でした。そのぶんオネーギンに対しては腹が立って最後まで感情が「無」(笑)。好きな人と嫌いな人がはっきり分かれた4時間、やはり今日も最高でした。

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『エフゲニー・オネーギン』ってどんなお話?

チャイコフスキーが、プーシキンの小説をもとに作ったオペラです。舞台は19世紀のロシア(今回の演出では19世紀後半)。地主の家の姉タチヤーナと妹オリガ、オリガの婚約者レンスキー、そしてレンスキーの友人オネーギンの恋と友情が、すれ違っていくお話です。

ロシア語上演の全3幕で、休憩2回を含めて約4時間。タチヤーナはアスミック・グリゴリアン、オネーギンはユーリ・サモイロフ、演出はデボラ・ワーナーです。

『エフゲニー・オネーギン』のタイムスケジュールとMET新シーズンのチラシ
『エフゲニー・オネーギン』のタイムスケジュールとMET新シーズンのチラシ

東劇のエスカレーターから、日常の歌舞伎座

アンコール上映はなるべくたくさん観に行きたかったけど、スケジュールが合わずになかなか行けませんでした・・・今回はタイミングが合ってラッキー!

会場は東銀座の東劇。入口にはMETの大きなポスターが出ていて、ここから気分が上がります。

東劇の入口に掲げられたMETライブビューイングの広告
東劇の入口に掲げられたMETライブビューイングの広告

館内へ上がるエスカレーターの窓から、歌舞伎座が見えるところがお気に入り。ビルや道路のあいだに、ふつうにある歌舞伎座。正面から見上げるのとはまた違う、日常にある歌舞伎座。こんな日常がいつもあるなんて・・・いいなぁ東京🗼

東劇のエスカレーターから望む歌舞伎座と東銀座の街並み
東劇のエスカレーターから望む歌舞伎座と東銀座の街並み

赤い手すりのエスカレーターをのぼって、さて今日もはりきって行っくぞ〜⭕️

東劇の入口へ向かう赤い手すりのエスカレーター
東劇の入口へ向かう赤い手すりのエスカレーター

席は前方の下手側。後方より画面も音も迫力があって、没入感がありました。

場面ごとに、心がいそがしい

第1幕 手紙の場は圧巻

オネーギンにひと目ぼれしたタチヤーナが、ひと晩かけて恋文を書く「手紙の場」。圧倒されました。素晴らしかったです。

手紙を受け取ったオネーギンが返事をする場面。タチヤーナはオネーギンに会えてうれしい反面、手紙を読まれたことに対しての羞恥心と、その手紙に対して何を言われるかという不安に押しつぶされそうで・・・その様子が見ていてつらかったです。

そこへオネーギンは、自分は結婚に向かない男だと告げたうえに、自分を抑えることを学びなさい、とお説教まで。最初の印象とまったく違って、とーーーーっても嫌なやつ。しっかりと引いたわ〜。

第2幕 オネーギン、いい加減にしろ

タチヤーナの名の日のお祝い。まわりの噂話や陰口に機嫌をそこねたオネーギンは、こんなつまらない舞踏会に誘ったレンスキーへの腹いせに、オリガを誘って踊り出します。この時点で、オネーギンにもオリガにも幻滅〜。

レンスキーが「僕と踊るって約束したじゃないか!」と言っても、オリガはそのままオネーギンと踊ってしまう。あとで責められても、嫉妬した罰よ、なんてつれない返事。お〜っと、その対応も好きじゃないぞ〜。明るいとか楽天的とかを通り越して、空気が読めていない。正直、最初から苦手なタイプでした(笑)

レンスキーはオリガに誠実に向き合って、まっすぐに気持ちも伝えていて、大人な対応だったと思います。みんなの前で決闘を申し込むのはどうかと思うけど、それほどオリガのことが好きだったのね。ご立腹には納得、応援してます。

そしてオネーギンよ。親友の婚約者にちょっかいを出しておいて、舞踏会の時点でもう「やりすぎた」と後悔。それでも引っ込みがつかずに決闘へ。タチヤーナへの当てつけにも見えたし、タチヤーナも、レンスキーも、誰一人幸せにならない子どもみたいな行動に、いい加減にしろ〜!

そんな大騒ぎの中、お祝いされているはずのタチヤーナは、ひとり嫉妬に胸を痛めているのに、完全に蚊帳の外・・・

決闘の場面は、腹が立ちすぎて感情が「無」。自業自得です。レンスキーには生きていて、オリガとは別のいい人と幸せな家庭を築いてほしかった。(完全に個人的な願望です(笑))

第3幕 いちばん好きな再会の場面

数年後、サンクトペテルブルクの舞踏会で、公爵夫人になったタチヤーナと再会。ここがいちばん好きなシーンです。オネーギンに対しての「ざまーみろ」感(笑)

でもよく考えると、オネーギンが惹かれたのは、堂々とした立ち居振る舞いや、地位の高い公爵と結婚したというブランド感。それって、あとから備わった付属品ですよね。肩書きを知ったとたん急に目の色が変わる人みたいで、すごく残念。実はタチヤーナ本人も、最後の二人きりの場面で「今のわたしが上流社会にいて、裕福で身分も高いから、追いかけてくるのですか?」と問いかけています。肩書きや家柄はその人を形づくるものの一つではあっても、その人のすべてではないと思うんです。

そしてタチヤーナは「あなたを愛しています」と打ち明けながらも、「わたしはもう別の人のもの」と、夫への誠実を選んでオネーギンを拒みます。「愛している」と言うのは、まあオペラなので許します。でもそれは、叶わなかった恋だから「好き」が続いているだけで、本当の愛ではないと思う。

タチヤーナが現れて人生に光が差した、と歌うグレーミン公爵、とてもいい人じゃないですか。そういう人と巡り会えたのは、タチヤーナ、あなたがそれだけ素敵な人だからよ。褒めてつかわす(笑)

幕間インタビューも楽しみのひとつ

METライブビューイングの幕間インタビューや舞台転換の映像、好きなんです。シネマ歌舞伎でもやってほしいくらい。

まとめ

帰りは出口前のかぶきにゃんたろうのパネルを撮影。いつでもいるぜ、かぶきにゃんたろう。買ったぬいも連れてくればよかったなあ。

東劇館内のかぶきにゃんたろう撮影用パネル
東劇館内のかぶきにゃんたろう撮影用パネル

タチヤーナに心を持っていかれて、オネーギンには最後まで「無」。オネーギンは最後まで滑稽で、なんの愛着もありません。好き嫌いがはっきりするほど、物語に入り込めた4時間だったと思います。怒り心頭だぜ〜。

2027年5月には新国立劇場でも『エフゲニー・オネーギン』が上演されます。次は生の舞台で、タチヤーナにまた会いに行くつもりです。

METライブビューイング アンコール2026 公演情報
公演名METライブビューイング アンコール2026『エフゲニー・オネーギン』
公演期間2026年8月14日(金)〜9月24日(木)※東劇での開催期間。作品ごとに上映日が異なります
劇場東劇(東京・東銀座)
開演時間上映回ごとに異なります
演目・出演チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』(MET上演:2026年5月2日)/指揮 ティムール・ザンギエフ、演出 デボラ・ワーナー/出演 アスミック・グリゴリアン、ユーリ・サモイロフ ほか
上映時間約3時間55分(休憩2回を含む。アンコール2026上映時点)
チケット本公演は終了しています
備考公演情報は当時のものです
ひとり観劇メモ東劇の客席は通路を挟んで前方と後方に分かれています。前方は画面も音も迫力があって、没入感たっぷり。幕間にはインタビューや舞台転換の映像が流れるので、休憩中も楽しめます。
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