錦秋十月大歌舞伎 第二部(2026年10月)

開演前、2階から見渡す誰もいない客席と定式幕 歌舞伎
歌舞伎座正面の紫の幕と赤い提灯
歌舞伎座正面の紫の幕と赤い提灯

いつもの花横のドブ席に座ったら、横も前も後ろも、なぜか誰もいない。周囲2mにひとりぽつーーーんと取り残されたまま、第二部が始まりました。めっちゃ目立つやん(笑)。それでも、やはり今日も最高でした。

同じ公演の他の記事 → 錦秋十月大歌舞伎 第一部(2026年10月)/錦秋十月大歌舞伎 第三部(2026年10月)

第二部ってどんな演目?

今月の歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」は、第一部から第三部までの三部制。第二部は、時代物の大作『近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた) 盛綱陣屋(もりつなじんや)』と、舞踊『山帰強桔梗(やまがえりまけぬききょう)』の二本立てです。

『盛綱陣屋』は、敵味方に分かれて戦うことになった佐々木家の兄弟のお話。兄・盛綱の陣屋に、弟・高綱の息子の小四郎が生け捕りにされて連れてこられます。やがて高綱討死の知らせが届き、盛綱は首実検(討ち取った首が本人かどうかを確かめること)をすることに。ところが首は偽物で、そこには高綱と小四郎親子の、命がけの策が隠されていて…という展開。大坂の陣の真田兄弟がモデルなんだそうです。

盛綱はダブルキャストで、わたしが観た回は八代目尾上菊五郎さん。さらに今回は、萬壽さんが小四郎の祖母・微妙(みみょう)、時蔵さんが盛綱の妻・早瀬、梅枝さんが小四郎。実際の祖父・父・息子の三代が、同じ舞台に並ぶ配役でした。

いつもの花横ドブ席で、まさかのぽつーん

この日は入口を間違えて、上手(かみて/舞台に向かって右)側から入ってしまいました。わたしの席は、花道の外側の通称「ドブ」と呼ばれるあたり。花道の下をくぐる階段を通って、”川”の向こう側へ回ることに(笑)。ふだんは通らない場所なので、ついでに写真も撮っておきました。

花道の下をくぐる階段
花道の下をくぐる階段

開演前の、まだ誰もいない劇場もパチリ。

開演前、2階から見渡す誰もいない客席と定式幕
開演前、2階から見渡す誰もいない客席と定式幕

ところが、席に着いてみたら……横一列、誰もいない。目の前の3席も空席で、前の列もほぼいない。後ろの列は誰もいなくて、その後ろもまばら。わたしの周りだけ、ぽっかり空いている状態です。

しかもこれ、第二部のあいだずっと。花横ドブ席にひとり取り残されるなんて、さすがに初めてでした。これは・・・なんかちょっと目立つんじゃないか?でもおかげで、いつもよりゆったり、自由に観られました(笑)何だか家にいる気分。。。

横一列に空席が続く花横ドブ席のまわり
横一列に空席が続く花横ドブ席のまわり

『盛綱陣屋』と『山帰強桔梗』

『盛綱陣屋』は、小四郎がいい仕事

『盛綱陣屋』は、5月に大阪松竹座でも観た演目。今回いちばん心に残ったのは、子役さんが勤める小四郎(梅枝さん)でした。

祖母の微妙に切腹を勧められても、わざと嫌がって切らない。そして首実検で首桶が開けられようとした、まさにその瞬間に切腹する。父の策を背負って、タイミングを見計らっていたんですよね。小四郎、かなりいい仕事してました。

三代そろった配役、これはかなりたまらない。なかでも時蔵さんの早瀬が素敵すぎて……。松竹座で早瀬を勤めていた壱太郎さんもよかったけれど、時蔵さんの落ち着いた大人の女、という感じがまた素敵なんです。

『山帰強桔梗』は粋でいなせ

大山詣り(江戸の人たちに人気だった、相模の大山へのお参り)を終えて江戸へ帰る鳶の大吉(巳之助さん)が、お参りにかこつけた悪遊びを面白おかしく語る清元の舞踊です。巳之助さんのお家・三津五郎家ゆかりの演目で、23年ぶりの上演なんだとか。

初めて観る演目だったので、イヤホンガイドは必須でした。巳之助さんの大吉は、粋でいなせ(江戸の鳶や若い衆の、威勢がよくて粋なさま)。かっこよかったです。

気になる所作台と、うれしいお知らせ

最近お気に入りなのが、所作台(しょさだい/踊りのときに舞台に敷く檜の板。足拍子の音がよく響きます)。所作台を出す・出さないで演目を決めたりもするのかな?というのが、最近の気になりごとです。どの演目を組み合わせるか、どの役者さんにお願いするか、そのスケジュールは……と、松竹の方は気をつかうことが多そう。素っ頓狂なことを言っていたら、ちょっと恥ずかしいけれど(笑)

所作台の木目
所作台の木目

館内では、うれしいチラシにも出会いました。「え。講談?神田松鯉先生だー!」

新作歌舞伎『忠僕元助』のチラシ
新作歌舞伎『忠僕元助』のチラシ

松緑さんの講談シリーズ待望の第4弾、新作歌舞伎『赤穂義士外伝の内 忠僕元助(ちゅうぼくもとすけ)』が、12月の歌舞伎座で上演されるそう。人間国宝の講談師・神田松鯉先生の口演をもとにした作品で、松緑さんと中村梅雀さんの共演です。講談は最近ずっと気になっていたし、このシリーズも楽しみにしていたので、とってもうれしいお知らせ。松鯉先生はまだ生で拝見できていないので、早く観たいなあ。うれしいうれしいうれしい!12月はこの演目を中心に観劇予定をつめこみたい!

めでたい焼きの法則

めでたい焼きの列に並んでいたら、いつもと違って、焼いているおじさまから「何個?」と聞かれました。答えたら、わたしの次の方で終わりだったようで、その次の方には「すいません、売り切れです」。数を聞きながら、売り切れの確認をしていたんですね。

焼いているおじさまに数を聞かれずにレジまで行けたら、買える。おじさまに数を聞かれたら、売り切れ目前だけど買える。結局「売り切れです」と言われなければ買える。うん、この法則は合ってそう。当たり前か(笑)

まとめ

定式幕を背景にした今月の筋書
定式幕を背景にした今月の筋書

周りに誰もいない花横ドブ席で、三代そろった『盛綱陣屋』に、粋でいなせな巳之助さん、そして売り切れ目前のめでたい焼き。目立つけれど、いつもより自由に過ごせた第二部でした(笑)

12月の講談シリーズも、いまから楽しみです。

錦秋十月大歌舞伎 公演情報
公演名錦秋十月大歌舞伎
公演期間2026年10月2日(金)〜20日(火)※9日(金)休演
劇場歌舞伎座(東京・東銀座)
開演時間第一部 午前11時/第二部 午後2時30分/第三部 午後6時
演目・出演【第二部】『近江源氏先陣館 盛綱陣屋』片岡仁左衛門(Aプロ)・八代目尾上菊五郎(Bプロ)、片岡孝太郎、片岡愛之助、中村時蔵、中村萬壽、中村歌六ほか/『山帰強桔梗』坂東巳之助
上演時間第二部 午後2時30分〜5時00分(『盛綱陣屋』2:30〜4:20/幕間25分/『山帰強桔梗』4:45〜5:00)※10月1日時点の予定
チケットチケットWeb松竹
備考『盛綱陣屋』の佐々木盛綱はAプロ・Bプロのダブルキャスト(日程は公式サイト参照)
ひとり観劇メモ花横のドブ席(花道の外側の席)へは、下手側の入口から入るのがおすすめ。上手側から入ると、花道の下の階段をくぐって回ることになります。めでたい焼きは売り切れることもあるので、食べたい方は早めに並ぶと安心です。
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