今見たい能 リクエスト能(2026年10月)

終演後の能舞台に長く垂れる土蜘蛛の糸 能楽

終わったあとの舞台には、柱にも欄干にも松の枝にも、土蜘蛛の白い糸がたくさん。事前レクチャーで知った約束事が目の前でつながったり、いろんなかたちの能を一日で見比べられたり。やはり今日も最高でした。

終演後の能舞台に長く垂れる土蜘蛛の糸
終演後の能舞台に長く垂れる土蜘蛛の糸

リクエスト能ってなに?

大槻能楽堂の「リクエスト能」は、お客さんの投票で上演する曲が決まる参加型の企画です。

能の演目は、神・男・女・狂・鬼の5つのグループに分けられていて、昔はこの順に5曲を1日で上演する「五番立(ごばんだて)」がならわしだったそう。いまは2曲くらいで終わることが多いんだとか。

今回は、投票でいちばん票を集めた五番目物(鬼のグループ)の『土蜘蛛』を能で上演。さらに初番目物から四番目物まで、それぞれいちばん人気だった曲も、舞囃子・仕舞・素謡というかたちで並びました。五番立の流れを、一日でひととおり味わえる構成なんです。

土蜘蛛を大きく掲げたリクエスト能の立て看板
土蜘蛛を大きく掲げたリクエスト能の立て看板

谷町四丁目から、晴れの能楽堂へ

最寄りの谷町四丁目駅から、10号出口を出て歩きます。道すがら、建物のすき間から大阪城をチラ見🫣行きたい…🏯

足もとには、大阪城と桜が描かれたマンホールも。

到着した大槻能楽堂の上には、すっきりした青空。いい天気!

青空の下の大槻能楽堂
青空の下の大槻能楽堂

事前レクチャーで、能の約束事を予習

開演前には、30分の事前レクチャーを受けました。能楽とは?というお話から今日の演目のことまで、いろいろ聞けて楽しかったです。メモには「能は一期一会である」という言葉も。同じ舞台は、二度とないんですね。

お話は、目の前の能舞台についても。舞台の周りに敷かれた白い石には、レフ板の効果があります。うん、それは知ってた!舞台の下は空洞で、甕(かめ)がたくさん置かれているらしく、足を踏み鳴らすといい音が響くんだとか。奥の松は、もともと舞台の前にあった松を、鏡に映したように描いたもの。演者はその神聖な松を背負って演じているんですね。レクチャーで聞いていたからこそ、能舞台の装置ひとつひとつが、見ているだけで奥深く感じられました。

白い石が敷かれた大槻能楽堂の能舞台と鏡板の松
白い石が敷かれた大槻能楽堂の能舞台と鏡板の松

装束にも約束事があります。肩から赤い衣をかけていたら、病気のしるし。歌舞伎だと紫の鉢巻ですよね。そういう違いもあるんだね〜。たのしい。この赤い衣、あとの『土蜘蛛』でさっそく出会います。

詞章つきのパンフレットと、音声ガイド

予習の道具は、レクチャーだけではありません。

チケットは公演パンフレット付きにしました。引換券を渡して、パンフレット『おもて』を受け取り📕

中には、文楽の床本のように詞章(ししょう。能のセリフや謡の言葉)が全部書かれていて、舞台の流れがよくわかりました。

音声ガイドは、開演前に聞く5分くらいの土蜘蛛の解説。リアルタイムの解説ではなかったので、やっぱり同時解説がほしいな〜って思いました。イヤホンガイドってとても便利なので・・・

能のいろんなパターンを、一日で

予習のあとは、いよいよ本公演。お話から始まって、舞囃子、仕舞、素謡、そして能へと進みます。

お話「五番立という歴史」

天野文雄さんのお話。スピーカーの位置の問題かな、少し聞き取りづらくて・・・五番立というシステムについては、もう少し詳しく聞きたかったです。とても興味深いお話だったことは間違いないです。

舞囃子『高砂』

舞囃子は、面や装束をつけずに紋付袴で、地謡と囃子に合わせて舞う形式。上野雄三さんの『高砂』は、住吉の神さまが平和な世を祝って舞う、後半の部分でした。

結構激しめの音楽で、ちょっとびっくり。あんなに激しかったっけ?後半の「神舞(かみまい)」は太鼓も入るテンポの速い舞なので、そのせいかもしれません。

仕舞『巴』『井筒』

仕舞は、囃子なしで、地謡だけに合わせて舞う形式です。

大槻裕一さんの『巴』は、木曽義仲に仕えた巴御前の霊のお話。空中で回転して、しゅぱっと座る仕草がかっこよかった!

続く齊藤信隆さんの『井筒』は、地謡の方々はそのままで、流れで始まりました。そういうパターンもあるんやな〜。

素謡『俊寛』(クドキより)

素謡は、舞も囃子もなく、座ったまま謡だけで聞かせる形式。大槻文藏さんの俊寛で、鬼界島にひとり残される嘆きの場面が謡われました。
歌舞伎ではちょこちょこ見る演目ですが、お能には千鳥が出てこないから、俊寛の心の動きや葛藤も少し違うのかな?なんて想像していました。

舞囃子、仕舞、素謡と続いて、なんだか今日は能のいろんなパターンが見られたな〜。

能『土蜘蛛』

最後は、投票で1位になった『土蜘蛛』。病で伏せる源頼光のもとに怪しい僧が現れて糸を投げかけ、後半は古塚から現れた土蜘蛛の精と武者たちが戦うお話です。

最初の頼光の準備が、見ていて楽しかった。肩から赤い衣をかけているのを見て、「お!これか!レクチャーで聞いた、病気のしるし!」です。意味がわかると面白い。

土蜘蛛の精(上野雄三さん)は、面をつけているから見えにくいはずなのに、いい感じの場所にちゃんと糸を飛ばしていきます。これも面白いところ。

そして最後の最後。地謡におられた大槻裕一さん、笑ってた気がする😂 横から見ていたので、ほんとうのところはわからないけど・・・半笑いというか、ちょっと体勢変えるほどに笑ってませんでした?(笑)
気のせいかな?

土蜘蛛の残骸😂と、きれいな舞台

終演後の舞台には、糸がたくさん残っていました。高いところから長く垂れていたり、柱の根元や欄干にからまっていたり、赤い絨毯の上でかたまりになっていたり。橋掛りの松の枝にまで。クリスマスツリーみたい🌲

土蜘蛛の残骸😂 舞台で飛んでいた糸がこんなに残っているのが、見ていて飽きませんでした。こんなにたくさんの糸を投げる演出は、明治のはじめに工夫されたものなんだそうです。

能舞台の欄干にからまった土蜘蛛の糸
能舞台の欄干にからまった土蜘蛛の糸

正面から見ると、断片はあるけど、きれいな舞台。

正面から見た終演後の大槻能楽堂の能舞台
正面から見た終演後の大槻能楽堂の能舞台

まとめ

能を観るのは初めてじゃないけど、能はなかなか難しくて、毎回いつもいつでもいつまでも超初心者。そんなわたしでも、今回は能を「知る」入り口がたくさんありました。レクチャーで聞いた約束事が舞台でつながる楽しさと、いろんなかたちの能を一日で見比べられる楽しさ。最後は、土蜘蛛の糸の残骸まで楽しんでしまいました(笑)

東本願寺の能舞台も、いつか見てみたいな。全国の屋外の能舞台のことも、ちょっと知りたくなりました。

今見たい能 リクエスト能 公演情報
公演名令和8年度 大槻能楽堂自主公演能 企画公演「今見たい能 リクエスト能」
公演期間2026年10月18日(日)(1日のみの公演)
劇場大槻能楽堂(大阪市中央区上町A-7)
開演時間14時00分(開場13時00分)
演目・出演お話「五番立という歴史」天野文雄/舞囃子『高砂』上野雄三/仕舞『巴』大槻裕一/仕舞『井筒』齊藤信隆/素謡(クドキより)『俊寛』大槻文藏/お話「土蜘蛛について」天野文雄/能『土蜘蛛』上野雄三
上演時間約2時間40分(休憩20分を含む。会場掲示の時間割より)
チケット本公演は終了しています(販売元:大槻能楽堂)
備考公演情報は当時のものです。開演前に約30分の事前レクチャーがありました
ひとり観劇メモ開演前の事前レクチャーと、詞章が全部載ったパンフレットがあると、ひとりでも舞台の流れを追いやすいです。音声ガイドは開演前に聞く5分ほどの解説で、上演中の同時解説ではありません。最寄りは谷町四丁目駅の10号出口です。
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